2023年度の事業再構築補助金の変更内容、特に審査項目の変更点から、事業再構築の位置づけ、経済産業省の狙いを分析し、採択される事業戦略・事業計画のポイントを解説する動画を作成しました。
今年度、事業再構築補助金へのチャレンジを検討している事業者の皆様、必見です!
「動画を見ているヒマなんてない」「中身を詳しく知りたい」という方は、以下の記事をご覧ください。
令和5年度 事業再構築補助金の変更点(概要)
令和5年度の事業再構築補助金の変更点については、コチラでまとめていますが、概要は以下の通りです。
- 申請類型(申請枠)
- 通常枠を廃止して、成長枠に再編
回復・再生応援枠と緊急対策枠を統合し、物価高騰対策・回復再生応援枠へと再編
産業構造転換枠、サブライチェーン強靱化枠の新設
成長枠、グリーン成長枠に対する上乗せ枠の設定 - 申請要件
- 売上減少要件の撤廃(最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠を除く)
市場拡大要件・給与支給総額増加要件などの追加
事業再構築の類型の一部変更 - 審査項目
- 事業化点、再構築点の文言変更
賃上げ加点、ワーク・ライフ・バランス等の取組み加点などの追加
本記事では、この審査項目の変更内容から、行政・経済産業省の意図を読み取り、採択を勝ち取るための事業戦略の立て方について、分析・解説しています。
審査項目の概要
事業再構築補助金では、おおきく分けて3つの観点で事業計画が審査されます。
1つめは、事業化点です。これは、事業の実現性、会社として「市場対応力」「競争力」「計画性」「組織力」を持っているのかどうかを問うものです。
2つめは、再構築点で、その名の通り、事業再構築補助金にふさわしい事業かどうかというものです。具体的には、「戦略性と妥当性」、「事業再構築指針への適合性」、「投資効果」、「イノベーションへの貢献度」、および「ポストコロナ・ウィズコロナ時代への適応力」が問われています。
3つめは、政策点で、日本の政策目標への適合性を問うものです。キーワードは「構造転換」「経済成長の牽引」「V字回復」「グローバル競争力」「地域経済への貢献」「企業間連携」です。
政策点の変更は少ないので、今回は、事業化点と再構築点の変更内容に着目していきます。
事業化点の分析
2022年度第9回公募と、2023年度第10回公募の、事業化点の審査項目の変更内容を色分けしたものが、下の図です。
重要なキーワードの変化だけ取り出してみると、第9回では、「競合の動向を把握」とだけ書かれていたのに対し、第10回公募では、「競合他社の製品・サービスを分析」とより細かな分析が求められています。
また、価格的・性能的優位性についても、価格・性能面での競争を回避するといった記載に変わりました。
そして、これまでは市場・顧客ニーズや市場規模を算出するといった内容が、継続的に売上・利益を確保するといった成果目標に変わっています。これと併せて、中長期での課題検証という言葉が使われていることも印象的です。
ここから分かるのは、今年度の事業再構築補助金では、競争優位性や差別化戦略といったより戦略面を重視しているということと、新事業について今現在見込があるというだけではなく中長期(5~10年ぐらい)のスパンで継続して成長できる事業であるかということが求められています。
再構築点の分析
同様に、再構築点についても第9回、第10回の変更内容を色分けしました。
大きく変わったのが①番です。SWOT分析というキーワードが明確に記載されました。これまでも補助金申請は、SWOT分析するのが当たり前でしたが、審査項目にはっきりと書かれたのは今回が初めてです。
また、赤色の部分、「事業再構築の取組内容が、当該分析から導出されるものであるか、複数の選択肢の中から検討して最適なものが選択されているか。」と、これまた見慣れない記載が追加されました。
その他、先端的なデジタル技術活用、新しいビジネスモデル構築などで地域のイノベーションに貢献するというのが、地域やサプライチェーンに置き換わったところが注目ですね。
追記・強調されているものがある一方で、第9回にあった売上減少やコロナ・物価高騰の影響からの再構築の必要性・緊急性という記載がなくなりました。ただ、これは不要になったというわけではなく政策面に似た審査項目があるので、省かれたと考えられます。ただ、これらの審査における重要度は下がったと考えられます。
このことから、今年度の事業再構築は、より戦略的なプランの重要度が増しているということと、事業再構築を通じて日本経済全体に産業構造の変換を図りたいという、経済産業省の意図が読み取れます。
まとめ
最後に、2023年度の事業再構築補助金の採択ゲットを目指すための事業戦略・事業計画のポイントをまとめておきます。
事業戦略の立案
- SWOT分析を必ずやる!
- 本命のプラン以外に、クロスSWOT分析から対立候補のプランも作る
- 競合企業との差別化戦略や、中長期の視点に立った成長戦略を意識する
- 自社単独の利益ではなく、サプライチェーン全体など広範囲な経済効果を意識した事業展開を考える
事業計画の策定
- 事業の実施体制(人材・事務処理)、資金調達能力、課題設定、スケジュールを詳細に具体化
- 事業計画期間内の費用対効果だけではなく、将来的にもたらされる利益・シナジーや、自社の中長期ビジョンとの整合性を盛り込む
- 先端技術の活用による地域やサプライチェーン全体のイノベーションで、事業の魅力度をアピールする
以上のことに注意して、事業再構築補助金の採択ゲットと、自社の持続的な発展・成長を手に入れていきましょう!
事業再構築補助金の申請について、お困りの方はオンライン無料相談を行っていますので以下のフォームからお気軽にご相談ください。