2022年1月20日(木)から事業再構築補助金の第5回公募が始まりました。公募締め切りまで2ヶ月というところで、申請に向けた準備がこれから本格化していきますが、ここまでの採択結果について分析を行ってみました。
事業再構築補助金のホームページでは、第1回から第3回公募までの採択結果が発表されています。(ココ)
第1回から第3回までの応募件数46,288件に対し、21,223者が採択されてします。(通算の採択率は45.8%。)
この21,223件の事業計画名(タイトル)について、その文字数や、使用されている単語について統計分析を行いました。
なお、今回の分析の対象は「採択された計画」のみで、「不採択になった計画」は公表されておらず含まれておりませんので、「こういう事業計画名にすると採択されやすい!!」というような分析は行っていません。(それを期待して当サイトにお越し頂いた方には大変申し訳ございません。)
事業再構築補助金に採択された計画は、どのような事業計画名なのかという興味本位のエンタメとしてお楽しみください。
事業計画名の文字数
事業再構築補助金の電子申請システムでは、補助事業計画名(タイトル)を「30字程度」で記入するように記載されています。事業計画の内容を分かりやすく且つインパクトのある表現で30字に収めるのは(個人的には)難しく苦労しています。と言うことで、実際に採択された事業計画は、何文字くらいの事業計画が多いのか統計分析を行いました。結果は、以下の通りです。
- 事業計画名の平均文字数: 29.77文字
- 標準偏差: 7.06文字
予想通り、平均すると約30文字で事業計画名を付けられており、平均値・標準偏差から約68%の採択案件は23~37文字のタイトルをつけています。事業計画名の文字数の分布は下のグラフの通りです。採択案件の約68%は23~37文字のタイトルを付けていることが分かりました。
グラフを見ると、10字以下のタイトルや50字以上のタイトルも存在しており、「30字程度」という指定をかなりアバウトに捉えながらも、採択されている事例があることが分かります。
ちなみに、最も短い事業計画名は、たったの4文字!! (1件だけ)
最も長い事業計画名は60文字でした。(なんと29件もりあました!!)
気になる中身は以下の通りです。
- 4文字
紋桜餃子 - 5文字
店舗の終活
BBQ奉行
ULF写真館 - 6文字
映像配信事業
カンパチ焼き
ごん太の宅食
幼児教育事業
屋外広告事業
EC事業構築
溶接加工事業
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短い事業計画名は、シンプルで読みやすいですが、具体的にどういう事業計画なのかはイメージが難しいですね。しかし、「紋桜餃子」「BBQ奉行」「ごん太の宅食」にはインパクトを感じます。そして「店舗の終活」は内容がとっても気になります!
逆に長い事業計画名は、「事業計画概要」を間違えて入れたのかなと思われるものもあります。上記では後略して全文を表示していませんが、ひとつひとつ確認したところ途中で文章が切れているものもありました。おそらく60字以上は入力できないシステム制限があるのだと思います。また、60文字を使ったタイトルは情報量が多すぎて注目ポイントがわかりにくいものもあると感じました。
事業計画名によく使われている単語
次に、どのような事業計画が採択されているのか中身を見ていきましょう。
とはいっても、2万件以上のタイトルをひとつひとつ見ていくことは無理なので、事業計画名によく使われている単語をビジュアライズしたWordCloudを作成してみました。
WordCloudでは、頻出する言葉は大きく表示されます。「事業構築」や「活用する」など事業再構築補助金らしい言葉が目立ちます。
その中では「新分野展開」は、「業態転換」や「業種転換」と比べて大きく表示されており、類型が「新分野展開」の計画が多いことが推測されます。(事業計画名に類型が必ず入っているわけではないため、断定はできませんケド。)
その他、「サービス」「オンライン」「テイクアウト」などが目立つほか、「EC」「DX」などの取組みや「ワーケーション」「アウトドア」といったコロナ以降の需要に目を向けた計画が多いように見受けられます。
事業計画名 頻出単語ランキング TOP200
続いては、事業計画書のタイトルを単語ごとに分解し、名詞・動詞・形容詞を抜き出して単語ごとの出現回数によって1位から200位までのランキングを作成しました。単語分解は以下のようにおこなっています。(もちろん手作業ではありません。Pythonでプログラムしました。)
- 原文 :
新型コロナを乗り越えろ!美味しい新鮮野菜のデリバリー事業 - 単語分解 :
新型コロナ / を / 乗り越えろ / ! / 美味しい / 新鮮 / 野菜 /の / デリバリー / 事業 - 名詞・動詞・形容詞の抽出 :
新型コロナ / 乗り越える / 美味しい / 新鮮 / 野菜 / デリバリー / 事業
単語の分解には新語や固有表現に強い「mecab-ipadic-NEologd」という辞書を利用しています。「新鮮野菜」が「新鮮 / 野菜」と分割されているのに対し、「新型コロナ」は、一般固有名詞として分類されているあたりは辞書の特徴が出ているのではないかと思います。単語分解の仕方については、日本語的にご意見のある方もいらっしゃることとは思いますが、ひとつひとつを手作業で行うのは無理なので、こういうものとご理解・ご容赦いただけますようお願いいたします。
それでは、上位からの発表です!
1位~10位
うん、・・・まあ、こうなると思っていました。
1位から10位までの単語は、事業再構築補助金の計画では入っていて当たり前の単語が並んでいるので特に興味深い単語はありませんね。
11位~50位
26位テイクアウト、28位オンライン、32位コロナは、コロナ禍に対応した事業形態として、オンライン対応やテイクアウト対応が多くの事業者で採用されていることを表しているのかと思います。19位地域は、地域活性化や地域との連携、地域に特化した事業を計画している事業が多いことを示しているのでしょうか。また、46位自社は、これまで外部に依存していた販売や製造を自社で行ったり、自社ブランドでの商品・サービス展開等の文脈が想像できます。
51位~110位
51位ECおよび65位ECサイトは合わせる出現回数760回(出現率3.6%)と高く、ECサイト導入への意欲の高さが覗えます。110位デリバリーは、26位テイクアウトとかなり少なくなっているのは、配送システムの構築ハードルが高いためでしょうか。59位専門店・76位ブランドからは、自社の特長を活かして差別化を図る戦略が読み取れます。91位レンタルからは、これまで販売していた商品をレンタルというかたちでサブスク型ビジネスへ転換することが読み取れます。95位プラットフォームはインターネットを使ったサービスプラットフォームを指す場合と、業界で連携して新たな事業に取り組むビジネスプラットフオームの構築を指すものが混在しているようです。87位地元は19位地域と合わせると出現回数1165回(出現率5.5%)となっており、注目キーワードと言えます。
111位~200位
出現回数121位以下では、それぞれの事業者の戦略を表す特徴的な単語が散見されます。125位DX、128位AI、140位ドローン、154位動画、162位デジタル、178位ネット、190位ロボットからは、最新のデジタル技術を導入した新たな事業戦略に取り組む事業者の姿が浮かび上がります。また、121位ワーケーションや134位キッチンカー、138位グランピングなどコロナ禍で注目度が上がっているキーワードが見つけられます。198位高齢者は、高齢化が加速している日本においての成長市場としてターゲット市場に設定されていることが覗えます。
まとめ・感想
今回、あらためて採択計画の様々な事業計画名を見ることで、様々な想像が膨らんで非常に興味深かったのですが、皆様いかがでしたでしょうか?
特に頻出単語ランキング分析は予想以上に楽しかったので、第5回の発表が出たあとに第1回~第5回の結果で再集計してみたいと思います。
あと、AIで自動でタイトル作成とかできそうな気もしますが・・・とりあえず止めておきます。
最後まで長文にお付き合いいただきありがとうございました。
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